考えるな、感じろ!

わが輩は、還暦である。今日は、履歴書を書いている。

 

先日の派遣会社からメッセージが来て、エクセルで作成した添付の職務経歴書のひな型を参照し、返送してほしいとのこと。履歴書についても市販の用紙に手書きではなく、デジタルでOKだそうだ。手書きだと間違うわけにはいかないから慎重に書き進めなければならない。ワードでいいなら参照用に以前から作成していたものがあるから、これをコピペすればいい。

 

履歴書、職務経歴書がらみの作業を短時間で終えることができるのは嬉しい。特に、手書きの癖を読まれずに済むのが本当に嬉しい。正確に読んでくれるのなら、もちろんそのほうが望ましいことではあるが、その会社におけるよくないほうの前例と照らし合わせて、大体こんな性格だろうで片づけられてはたまったものではない。

 

しかし、手書きの文字というのは、どうしてあんなに性格が正確に現れるのだろう。みみず文字系の私は、優柔不断さを見事に言い当てられ、おそらくそのような烙印を押されてしまう。書類審査をパスして、面接にまで漕ぎ着ければどうにでもなると楽観視しているが、いかんせん、その書類審査が通らない。みみず文字のせいとばかりはいえないが、これまでは、けっこうな比率でみみずが活躍していたような気配が濃厚であった。

 

では、今回はどうであろう。ワードでOK。ふぅむ。その仕事に必要な「前向きな性格」や「責任感のある態度」、または、「協調性」は、どうやって判断されるのだろうか。これから若い人たちを束ねて、リーダーシップを発揮しつつ、バリバリ働くわけではないから、一般常識が備わっていて、コロコロ職を変えてきた実績が見えなければきっと問題なく採用されるであろう。

 

が、しかし… これまでに就いてきた仕事の数でいえば、コロコロ系と大差ない。それぞれの期間こそ、長いものもあるから一概にコロコロ系とは言えないだろうが、見方によっては、「堪え性がない」と判断される可能性は大であろう。転職回数が多いのは、「先見性」があるわけでも、「危機管理能力」が高いわけでもなく、ただ単に「気が短い」か「独りよがり」だったこれまでのわが輩の自己評価である。

 

われながら忍耐強いと思っていた時期もあったと思うが、転職する勇気がなかっただけの話。還暦を迎えてしまった今は、自己をどのように評価し、次の仕事へ確実につなげていくためにどうしたらいいのだろう…。

 

う~ん、悩む。これまでの過去を捏造するわけにもいかず、かといって、脚色するのも捏造と同じニオイがしてボツ。長期に働いていた会社だけを列挙しようか。あっ、そうしたら、「働いていない期間がところどころ、ありますが、どうされたんですか?」と、間引いて書いたことがバレてしまう。というより一目瞭然だ! う~ん、こんなところで時間を食っていたら、派遣会社より先に書類が届かないではないか。急げ、急げ!

 

「あなた~ぁ、お風呂入らない? 気分転換しないと煮詰まっちゃうわよん」と、遠くからカミさんの声がする。

 

次から次へといろいろなビジネスアイデアが湧いてきて、すぐに事業化でき、仲間もどこからともなく集まってきて、毎日が楽しくて仕方がない。

 

カミさんの、神様(かみさん)たる所以である。

 

能天気な気分転換の方策も、考えに考え抜かれたものであるに違いない。と、書いたところで、ブルース・リーがわが輩の目の前に突然現れ、決め台詞(ぜりふ)とともに去っていった。

 

「考えるな、感じろ!」

 

はい。ブルース。熱いお風呂を堪能してきます。