派遣会社からの連絡

わが輩は、還暦である。仕事は、まだない。

 

今日も鋭意休職中! とは云っても、先月末まで勤めていた職場から離職票がまだ送られてきていないので、ハローワークへ行くでもなく、経費節減のために無料の求人雑誌を手に入れてきて眺めるでもなく、もっぱら自宅のパソコンでネットの求人案内をチェックする毎日である。

 

わが輩が住んでいるエリアには、4~5誌ほど求人誌が存在する。最寄りの駅の改札口付近や、本屋の店先などに置いてあり、気軽に持ち帰れるのがうれしい。かつては、通勤の行き帰りに必ずといっていいほど各最新号を鞄に忍び込ませ、自宅で目を皿のようにして自分を迎えてくれる企業が現れるのを待ち望んでいたが、仕事があるときにはあまり真剣には見ていないもので、これはと思う企業がなかなか目に留まらなかった。

 

失業した現在ではどうか? おそらくさらに真剣度が増してきていることは間違いないと思うが、還暦を迎えていることで、有効求人数(自分が応募できる企業の数)がかなり減ってきていると察せられる。年齢、性別、学歴不問。という言葉を真に受けてはいけない。わざわざそう書かれているということは、それらを問題にしているぞ! という裏を読まなければならないことは、若き日の求職活動で嫌というほど思い知ったではないか。

 

そして、今は、便利になった。自宅に居ながらにして欲しい求人情報が好きなだけ、得られるようになったのだ。もう毎日、これでもか、これでもかとシニア(60代)に絞った求人メルマガが、早くどこかの企業に決めてね! とばかりにやってくる。

 

一昨日、ある業界に特化した人材派遣業会社の登録募集を目にした。給与の額が尋常ではない。ということは、営業系か、若しくは、歩合制か? 条件を上から順番に見ていくと、そのどちらでもなく、単に需要がある業界のため、仕事は後を絶たないのでご安心くださいと書かれてある。さらに、入社祝い金なるものも3か月無事に勤めることができたときには、出るとのこと。

 

あとは、やっぱり年齢だな。

 

普通は定年間際でリストラに遭うか、定年になる年齢だとわかっていて、これから就職しようと思っている「わが輩に恥はない!」さらに絞って、本当にその年齢、その経験、そして、あなたがいいから選んだに決まっているではないか! という企業を探すのだ。あまりじっくりとは探していられない。できれば、早急が望ましい。が、焦りは禁物である。

 

ええい、ままよ! 

 

勇気を持って先の人材派遣会社にエントリーすることを決意し、ガイダンスに従ってメッセージを入れる。滞りなく次の項目が現れ、必要事項をすべて入力し終え、エンターキーで送信。自動返信メッセージがすぐに返ってきて、「担当者より連絡させますので、今しばらくお待ちください」を確認する。

 

昨日、担当者より本当にメッセージが来て、「明日、お電話したいと考えていますが、何時頃がよろしいでしょうか?」に、「本日、15時以降でしたら大丈夫です」と返信。そして、すぐに「そうしましたら、15時にお電話いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします」で、本日の電話を待った。

 

本日15時。

 

約束通り15時ちょうどに着信があった。お互いの自己紹介に始まったのち、条件面をいくつか聞かれた。通勤時間はどのくらいがいいですか? 通勤方法は? 夜勤はできますか? 残業は可能ですか? いくらぐらいの給料がお望みですか? などと尋ねられたのち、「それでは、のちほど、職務経歴書と履歴書のフォーマットをお送りしますので、早めに返送くださいね。本日は、貴重なお時間本当にありがとうございました。これからよろしくお願い申し上げます」。

 

時間にして、わずか10分ほど。それでも気が遠くなるほど長時間話していたような気がする。本当に今から派遣会社にエントリーできるのか? そして、希望条件に近い企業が本当に存在しているのか? 心の中では、還暦からのスタートを嘲笑されていやしないのか? 疑えばキリがないことばかり……。

 

Tomorrow is another day!

 

明日は、きっと待っているぜ。